Winning Mosquitoの精神(8)

超銘鳩チャンピオンの誕生

82年は、モスキート系の特有の性能を余すところなく発揮した2羽の銘鳩が誕生した。

その一羽は、グレートモスキート。

モスキート系本流のモスキート菊と異血鳩ド・ソートレンの筋から交配して作出されたこの鳩は、この春に江別RG1100K西日本総合優勝を飾った。この鳩の偉大さは、単にこの総合優勝にとどまるものではなかった。79年から82年まで4年連続留萌GN1200K入賞、内優勝2回というモスキート連戦型の超銘鳩なのである。まさしく、不世出のチャンピオンバードであった。

1200K後の1100Kで総合優勝したのが5才。
一時は種鳩としてレース生命を絶たれそうにもなったグレートモスキートであったが、花尻氏の包容力をもって5年間育まれてきた。勝ち続けることの持続力は、このグレートモスキートをもってしても感じ得るものである。偉大な血統と、飼主の決断力によるコンビネーションの勝利であった。

そしてもう一羽、同じ年の秋に4つのビッグタイトルを独占したパーフェクトソートレン。

まず市振300K総合2位、続く高松宮賞500K 近畿総合優勝、併催地区R近畿総合優勝を果たし、その2つのレースのツーアベレージでも堂々の総合優勝を飾った。さらにマーク鳩では第1位という文字どおりのパーフェクトな戦いであった。

血統は、ド・ソートレンの血がひじょうに濃い近親で、生命力をそのまま受け継いだ怪物Ⅱ世といった切れ味の鋭い若鳩チャンピオンであった。グレートモスキートが5才で、パーフェクトソートレンが若鳩でそれぞれビッグタイトルを獲得したその背景には、「チャンピオンは若の時から最前線で活躍でき、成鳩になって最大の力を発揮しなければならない」というモスキート系の根流があったが、奇しくもこの2羽によってそれを象徴的に演じて見せた。

82年には、モスキート系の性能を客観的に判断したいという意図でトラダ・テルヒサ氏を所長に、モスキート研究所が完成した。

そのモスキート研究所がデビュー戦を飾ったのが、キングメーカーによる83年春の地区N600K 近畿総合優勝、併催のイヤリングダービー近畿総合優勝であった。父親は、基礎鳩モスキート号の親仔配合直仔で、その当時12才であった。

モスキート本流の血筋が極めて強く、中3日~4日のレースを難なく翔破してしまう連戦型のファイターである。

また、このレース同着の総合2位になったのが、やはりモスキート研究所使翔のナチュラルクイン。キングメーカーの母親の祖母の直仔にあたる鳩だが、この血統は、76年に異血鳩として導入したサンバンサンN総合優勝のド・サンバンサンとモスキートグランプリとの交配の筋。今後は、この2羽のペアでモスキート研究所基礎ラインを形成していくという。

そのモスキート研究所の第2弾目83年秋の市振アベレージ300K 総合優勝だった。

モスキート号一番仔のジョニ黒が16才時の直仔モスキートロマンの快挙であった。母親は、ダブルタイトルとトップスターとの交配から作出された鳩でモスキート本流の性能が最も固定された血統構成である。

モスキート号については、モスキートブック・パートⅡもご覧ください。

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