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Winning Mosquitoの精神

Winning Mosquitoの精神(10)最終回

異血導入の大チャンピオン

花尻モスキート系で、本流モスキート号とともに極めて重要な位置を占めているのが異血交配鳩である。

74年にG.&M.ファンネー鳩舎より導入したド・ソートレン。72年、73年ラ・スーテーレーヌN連続総合優勝のこの怪物の導入は、あまりにも衝撃的だった。カトリス系の超スピードバードであって、その後もG.&M.ファンネー鳩舎のゴールデンカップルとして君臨していた絶品の血であった。

花尻鳩舎に導入されてからは、2年連続総合優勝2位3回、笹川賞受賞のモスキートピューマに長万部GR1000K近畿総合優勝のモスキート343、その直仔の日本ダービー全国総合優勝のダービーヒーロー、江別RG1100K西日本総合優勝のグレートモスキート、高松宮賞近畿総合優勝をはじめ4つのビッグタイトルを独占したパーフェクトソートレンは高松宮賞全国総合優勝のゴールデンベルといったように、不世出の超銘鳩を次々輩出した。

時を同じくして、フランス・テーマーマン鳩舎よりボルドーランサーを導入。75年のボルドーNで当日8羽の難レースを、生後8ヶ月で総合優勝を果たした若鳩チャンピオン。母親もまた、若鳩でラ・スーテーレーヌNを制覇したチャンピオンで、安定した強さと鋭い切れ味のあるデズメット&マタイス系主流の非凡な血統の筋。83年の日本ダービー全国総合優勝のダービージャンプを輩出している。

同じデズメット&マタイス系で、クラーレンの四重近親というベルギーの短、中距離レースのスペシャリスト ド・シャトローは、シャトロー2回総合優勝の超スピードチャンピオン。パワーと丸みを帯びた完全なるスピードタイプで、活気あふれる赤みを帯びた鋭い眼光は、まさに名門デズメット&マタイス系の特徴を余すところなく有していた。
この筋からは、江別RG1100K近親総合優勝のモスキートRG、その直仔のゴールデンベル、楓賞200K近畿総合優勝のモスキート夢幻など一連のチャンピオンが輩出されている。

オランダからは、76年のサンバンサンNで15454羽中、2位以下を1時間引き離して分速1433mで総合優勝を飾ったド・サンバンサンが導入されている。異母兄弟交配の直仔で、6年間で入賞42回以上というチャンピオンの直仔でもある。またこのド・サンバンサンは、サンバンサンN総合優勝以外にも、2年間でダックスN2回入賞、サンバンサン2回入賞しており、1000Kレースは何と5回も記録しているということになる。力強い翼と表情の良さ、すぐれたバランスを兼ねそなえたチャンピオンである。

79年から80年にかけては、新たに4羽の異血チャンピオンが導入された。まずオランダのエルマン・フルムールン鳩舎のルネ。サンバンサンNと並ぶオランダの2大長距離レースのひとつ、ダックスN1000K8394羽中総合優勝を果たした長距離のエース級のチャンピオンである。79年のダックスNは、サンバンサン3位入賞後参加して制覇している。親仔3代連続総合優勝の筋で、勝ち続けるチャンピオンの数少ない血統である。

このルネの導入で、花尻鳩舎にはド・サンバンサンとともに、オランダの2大1000Kレースの総合優勝鳩の異血がそろったということになった。

続いて、ベルギーのレオ・エルデケンス鳩舎から、79年リモージュN9473羽中総合優勝のリモージュが導入された。短距離から中距離を最も得意とする中距離で、スピード性においては他の追随を許さない性能の持ち主。また、血統がすばらしい。父親は、4年間で64回入賞という銘鳩で、短、中距離では最強のグロンドラース系、そして母親が中、長距離の王者ペーテルス系といったようにベルギー随一の血統構成なのである。

オランダからは、これも最強を誇るリーン・ブーア鳩舎より導入されたダルタニアン。若の時に4回使われすべて上位入賞、しかもコルベイル450K4095羽中総合優勝は、リーン・ブーアのスピード性を遺憾なく発揮したレースのひとつであった。このダルタニアンの血統、驚くことには親仔4代連続総合優勝の筋というものである。

4羽中唯一の雌鳩が、オランダのA.シャーラーケンス鳩舎のマドンナ。79年若鳩でオルレアンN7387羽中総合優勝を飾ったエネルギッシュで、スピード感あふれる若鳩チャンピオンである。ヤンセン系の二重近親で固定された性能は、異血としても貴重な存在である。

84年になって、花尻鳩舎ではまたまた超銘鳩の導入に踏み切った。オランダのP.クラマー鳩舎より、83年ベルジェラックN13302羽中総合優勝、N長距離エースピジョン1位というとてつもないスーパーチャンピオン アウトバーンを導入した。総合優勝鳩で、しかもNエースピジョンを獲得したのは鳩史以来アウトバーン唯一羽であり、また血統もベルギーの銘血ホールマン系とデルバール系の交配というように、勝ち続けるチャンピオンのすべての要素を持ち合わせていた。

こうした異血導入の大チャンピオンも確かに豪華絢爛だが、明日のモスキート系が本流モスキート号とともに繰り出すスーパーピジョンは、またさらに豪華絢爛のものとなるであろう。

モスキート号については、モスキートブック・パートⅡもご覧ください。

Winning Mosquitoの精神 完