モスキート系に期待する

私の大先輩、並河靖先生がモスキート系に下さったお言葉。

並河先生は、少年の頃より鳩を愛され、レースを行う体制、日本鳩レース協会の礎を作って下さった方です。

現在はお亡くなりになっておりますので謹んでご冥福をお祈りいたします。

モスキートブック発刊にに言葉を寄せていただきました。

モスキート系に期待する

このたびモスキート・ブック第二巻が刊行されることは日本鳩界にとってまことに意義深いものであり心からお祝いします。

近畿地区という所はレースのコースを北に選べば鳩の帰路は日本アルプスと白山、伊吹、鈴鹿の連山で二重に阻まれ夫の山脈を越えることのできない鳩は、東海、静岡、関東へと流れてしまう難コースであります。

この地形は好天候の放鳩日でも仲々と考えなければなりませんが、ひとたび思わぬ悪天候に出くわすならばそれこそ大量の失踪というダメージをもたらします。

それだけに近畿地区で鳩レースに参加する愛好家としては鳩の持つ能力そのものによってレース成績に大きな差異が出来るわけです。であればこそ私達は如何にして良い種鳩を導入し、如何にして良いレース鳩を作出するかに長い年月を飽きもせずに取り組んで行くことが出来るのだと考えています。

したがってこの近畿地区を制覇したレース鳩は鳩質としては非常に優れたものを備えているとしても不思議でありません。逆に諸外国で優秀な成績を上げた名系であっても、近畿の北コースで立派にその偉力を発揮できるレース鳩は極めて少ないとも言うことが出来ます。

私を含め私の周囲のたくさんの鳩界のメンバーの方達もこの点には随分と人知れぬ苦労を重ねてきたわけで、ふりかえって見てもあれも駄目だった、これも駄目だったと本当にたくさんの無駄を繰り返してきたものです。

花尻鳩舎の場合も当然この問題に直面されたはずです。そのことが花尻氏が世界一の基礎鳩の導入に情熱と執念を燃やす原動力になったのだと推察されます。モスキート系の源鳩ファブリー鳩舎のモスキート号は世紀の名系であったファブリー系の最終の傑作であったわけで、それゆえに素晴らしい成績が続々と生まれたのも当然と考えられます。

しかしこの好成績を支える脇役として戦前から関西鳩界で名門の誉れ高き細川勢山系、オスカーデフレンド系、ファングリムベルゲン教授のバルセロナⅡ号系、ファンネー氏によって種鳩として迎えられていた名門カトリス系の集成ソートレン号等々の導入と絶妙のブレンドはまことに見事な花尻氏の手腕の成果と言うべきでしょう。

世界的名系ファブリーの系統のバトンはモスキート号を通じてヨーロッパ・べルギーから日本・大阪の花尻鳩舎にまさしく引き継がれた今日、この系統をさらに大きく育てるのは花尻氏に課せられた大きな鳩界の命題といっても過言ではないと考えます。

モスキート系がその底知れぬ優秀性を更に向上し、日本鳩界だけでなく世界を制覇する日を期待し、一層の花尻氏の健闘をお願いするものであります。これからが本当に大切な時です。

並河先生の思い出

私が高校生の頃、母親に5万円貰って科野氏のところへ鳩を買いに行った時「並河さんも5円持ってうちに鳩を買いにきた」と聞かされました。

その時私が買った鳩は600マイル当日1羽帰りのメス。血統書を見ると、彼女は大変難レースを我慢して飛んだとの事。そのような感動のもとで私が、その後レースの醍醐味を探りにレースを真剣に取り組むようになったのです。

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